長くつきあう Kintsugi

2013.06.04

修復した面々 Repaired dishesちょこっと銀継

気に入って手に入れた、思い入れのある器は、割れたり欠けたりしても「いつか修復箱」にとっておいてきた。
引っ越ししても、その箱に入れたまま持っていった。
かなしいけれど、大事に大事に使っていても形ある物は壊れてしまうことがある。
今年に入り、念願だった金継(きんつぎ)教室に行き始めた。
金継とは陶磁器の割れや欠けを天然素材の漆で継ぎ、金、銀、真鍮、錫などで上化粧する日本独自の修復方法だ。

茶の湯が盛んだった室町時代、茶道の世界に始まったと言われている。ただ単に修復するだけでなく、そこに「美」を表現するのが面白い。修復した箇所を「景色」と言い、「景色がついた」として、場合によっては価値が高まることさえあるのだ。

西洋では「元通りにする」のが修復であるから、金継のように破損した箇所そのものに手を加える日本の修復法は驚きであろう。
最近では作業しやすい合成塗料やエポキシ樹脂を使った金継も人気があるようだが、私はなんでも凝ってみたくなる性格と、直接口に触れることもある食器ゆえに本漆を用いた金継を習っている。
例えば「割れ」の場合の行程はこうだ。
割れた箇所の角を削り、生漆を塗り拭き取る→小麦粉と生漆を混ぜ練った麦漆で接着→はみ出た漆を削る→中塗り(1回目)→中塗りを研ぐ→中塗り(2回目)→中塗りを研ぐ→べんがら漆/呂色を塗る→金属粉を蒔く→粉固め→磨き→完成
漆を塗った後は十分乾燥させなければならず、ものによっては半年近く修復にかかる場合もある。
時間はかかるが、自分の手で直した器がまた食卓に戻る日が来るのだ。
長くつき合う中で修復を施したとしたら、前よりも美しく、前よりも愛おしく大切にしたい。

 

Kintsugi / Kintsukuroi

Kintsugi is the Japanese art of fixing broken pottery with a lacquer resin sprinkled with powdered gold (silver, tin and brass as well).
Kintsugi may have originated when a tea ceremony was prosperous in the late 15th century.
Kintsugi repair makes it appear as though the original piece was mended with gold, the process is essentially a form of lacquer art.
The work processes are as follows.
Polish broken parts with sandpaper and coat with law lacquer. Glued using mugiurushi (kneading flour and law lacquer).
After drying, coating with several layer of lacquer and, with the final layer of urushi covered with fine gold or other metal powder.
This repair may take half year in some cases. But I think it’s really nice to use your favorite dishes again especially, if you repaired yourself!