サボン デ シエスタ インタビュー
Interview for Savon de Siesta

2014.03.24

石鹸を使うひとときが、お昼寝(Siesta)するようなゆったりしたものになりますように・・・そんな思いをこめて、1つ1つ丁寧に石鹸を作るSavon de Siestaの代表 附柴彩子さんにお話をうかがった。
*English language follows Japanese.
LOCCA オンラインストア Savon de Siestaの商品ページはこちら!
savondesiesta01

〜工房の見学~
白衣とマスク、キャップをかぶり工房の中へ入る。
大学の研究室といった印象の工房だ。白を基調とし、ステンレス製の器具が並ぶ部屋では3人の女性スタッフが慣れた手つきで次々と仕事をこなしていた。材料が入った寸胴鍋の横には泡立て器やゴムベラ等の見慣れたキッチン道具もある。
道具は身近なものを工夫して使ったり、オリジナルの道具を作ったりしているそう。撹拌器は電動だが、他はほとんど手作業といってよい。手作りの型には石鹸を取り出しやすいように、オーブンシートが敷かれている。型から出した石鹸は頃合いをみて、道具を使いサクッサクッと気持ちのよい音を立て切り分けていく。厳しく温度・湿度を管理された清潔な室内で、本当に「手作り」されているのだ。

附柴さんが石鹸を作り始めたきっかけは、学生の頃に市販の化粧品が肌に合わなくなったことだそうで、独学で石鹸の製法を学び作り始めたという。理系出身の附柴さんだが、「いつかみんなに喜んでもらえる石鹸屋になりたい」という夢を少しずつ大きくし、製薬会社勤務を経て、化粧石鹸のレーベルを立ち上げ製造・販売を開始、2009年には実店舗も札幌にオープンした。

〜コールドプロセス製法~
Savon de Siestaの石鹸は、植物性オイルだけを原料とし加熱することなく鹸化(*)反応を行う、コールドプロセス製法で作られている。植物性オイルを石鹸にする鹸化反応では、石鹸以外にグリセリンという保湿成分も一緒に合成される。この製法は、30日の熟成を必要とするとても手間も時間もかかるものだが、肌に優しく洗い上がりにしっとりする保湿性の高い石鹸を作るのには適した方法なのだそうだ。市販の石鹸の多くはグリセリンを取り除いて作るのに対し、Savon de Siestaの手作り石鹸は全てそのまま石鹸の中へ閉じ込めている。 植物性オイルの量に対し反応するアルカリの量を少なくすることによって、石鹸の中に植物性オイルを5~10%未反応のまま残している。Savon de Siestaのウェブサイトにも石鹸の製造方法が可愛いイラストと共に説明されている。
さて、30日間という長い熟成期間の間に、石鹸は余分な水分が抜け、アルカリ値も下がり、しっかりした石鹸に仕上がる。
完成した石鹸は下記の厳しい品質チェックをした後、包装され商品となる。
① pHテストを行ってアルカリ値の確認
② 重量を検査
③ 外観の検査
*鹸化
石鹸ができる化学反応のことで、油脂そのものをアルカリで加水分解する方法を「鹸化」という。
鹸化の中にはコールドプロセス製法(冷製法)の他に鹸化塩析法、焚き込み法、がある。

~北海道の素材~
肌にも環境にも優しい、安心して使える商品というだけでなく、北海道の豊富な天然素材を使っているのがSavon de Siestaの特徴だ。
下川町の白樺から抽出した蒸留水、十勝の小豆、オホーツクの塩など様々な道産の素材を用いている。
附柴さんご自身は茨城のご出身だが、大学時代に過ごした北海道の魅力を伝えたいという思いから積極的に北海道の素材を使っている。
材料として使うだけでなく、産地へも足を伸ばし、森林づくりにも貢献するなど、事業を通して広く北海道に関わっている。
北海道には特産品の素材を使った商品は沢山ある。石鹸も然りだ。しかしながら、私個人の経験だが使用感が良くなかったり、使用する前にパッケージデザインが気に入らない、という理由でリピートするには至らなかった。
LOCCAでSavon de Siestaの商品を扱いたいと思ったのは、私自身が実際に使ってみて良さを実感したからだ。そしてちょうどLOCCAを立ち上げ、故郷である北海道を応援したいという思いから北海道に関連のある商品を探していた。
まずはコンセプトと、見た目に惹かれた。シンプルな見た目が非常に好みだった。メルヘンに走らず、潔い四角い形と石鹸表面に押されたナンバリング。無香料の商品もあるが、香りづけされたものは天然素材のみを使用し、ほんのり香る程度。全身に使えるのも嬉しい。
私自身、敏感肌で軽いアトピーも持っており、何でも使えるというわけではない。強い香りも苦手だ。しかし肌に優しいものは泡立ちが良くなかったり、すぐに溶けてドロッとなったり、無くなるのが早いものも多い。「ないものねだり」とはわかっていても、理想のものを求めてしまう。そんな時にここの石鹸と出会い、使ってみたら肌が「待ってました!」と、喜ぶ感じがした。
余計なものは入れないでいいから、成分がはっきりしていて丁寧に作られている。使っていて気持ちが良い、そんなシンプルな石鹸が欲しかった。

最初は自分のために作り始めた化粧石けん。それが仕事となった今も、附柴さんはとても楽しそうだ。
定番品を作るだけでも種類が多く忙しそうなのに、さらに季節限定の石鹸も考えるのは大変ではないですか?と聞くと「それが楽しいんです」とにっこり。そう言って素敵な笑顔を見せてくれた。笑顔の中から生まれる石鹸。でも品質には厳しく。このバランスもいいな、と思う。

工房内の様子 In the labo.
Savon de Siesta laboratory
酒粕石鹸製作風景。材料を計量中。作業する方の手元には細かく指示が入った工程表が。
積み重なった箱形のものが、石鹸を固めるための型。部屋の奥の棚には熟成中の石鹸がずらり。一斗缶に入った材料など、女性には重たいものも多い現場。出来るだけ働く人に負担がかからないよう材料を小分けにするなど、随所に工夫が見られる。消費者には見えない部分だが、女性ならではの細やかさが感じられる。

Mixing materials
寸胴鍋に温めた材料を混ぜているところ。鍋に入ったオイルと薬缶から苛性ソーダ水を注ぎ、混ぜている。
Mixing oil and caustic soda.
Electric stirrer
撹拌器を使って混ぜ続ける。
Using an electric stirrer.
Mini-sized soap
出来上がった石鹸は1つ1つ手で袋詰めされていく。これはミニサイズの石鹸。
Pack soaps in a bag one by one by hand (mini-sized soap).
Soaps at the shop.
ショップには定番品から季節の石鹸がたくさん!
There are not only standard products but also many seasonal products!!
There are many products!
石鹸の他にも、シャンプーやバスソルト、雑貨なども取り扱っている。
They are also selling original bath goods and other pretty goods by artists.

<直営店 Siesta Labo. のご案内>
*2014年2月22日から下記住所に移転しています。
営業時間:11:00-19:00
定休:火曜日
TEL: 011-206-0710
住所:札幌市中央区南1条西12丁目4-182 ASビル1F
大きな窓から路面電車が走るのが見える白い建物の1階。珈琲店アトリエモリヒコさんの隣のスペースです。

Interviewed Ayako Tsukeshiba who is a Representative Director of Savon de Siesta located in Sapporo city, Hokkaido.
She showed me their laboratory and explained the process of their handmade soap.

She started making handmade soap as an alternative to commercial brands that often irritated her very sensitive skin when she was a student. Later, she began as a small company and launched her own soap brand in 2005 and she’s been expanding her business successfully.

Savon de Siesta’s soap is making with the cold process method that is conduct saponification reaction without heating and using only vegetable oil. Visit their website and see about the cold process method with their very cute illustration!
Characteristically, they are not only cares about the environment but also consciously using abundant natural materials of Hokkaido, such as distillated water from birch trees, azuki beans from Tokachi area, salt from Okhotsk Sea, etc.

I myself had a skin trouble and found this soap. I love their foaming texture and natural smell. Their handmade soap remains the glycerin and providing deep moisturizing benefits. Hope you’ll find your favorite one from them. Click here for Savon de Siesta handmade soap on LOCCA’s online store.

<Siesta Labo. Direct retail store>
OPEN:11:00-19:00
Closed on Tuesday
TEL: +81-11-206-0710
Add:AS Bldg.1F 4-182 Minami 1jo Nishi 12chome Chuo-ku Sapporo city, Japan

 


イメージの力 The Power of Images

2014.03.23

The Power of Images国立新美術館で開催中の「イメージの力 ー国立民俗学博物館コレクションにさぐる」を見に行った。
久々に入口から、ワクワクする展覧会だった。
今年で創設40周年を迎える大阪の国立民族学博物館が、国立新美術館と共同企画したのが本展だ。
世界の本質や構造にかたちや色を与え視覚化することは、人間に与えられた豊かな資質のひとつ。本展覧会では、イメージの創造とその享受のあり方に人類共通の普遍性はあるのかという問いをテーマに掲げ、古今東西の造形物を約600点、第1章から4章に渡って紹介している。
造形物に対して我々が持つ固定概念を問い直す試みでもある、という。

入口を入るとすぐ、世界中の仮面が壁一面に展示されている。おおっ!という驚きと共に気持ちが高揚してくる。
生身の人間ではない、世界中の仮面に見られるという不思議な感覚。
目には見えない存在を恐れ、神や精霊を「神像」として視覚化してきた古代の人々。
世界の様々な地で、多くの「イメージ」が形として創造されてきたということがわかる。
中には「いいんですか?!ふざけてるんじゃないんですか?!」というようなおもしろ表情の精霊像がいたり、元祖ゆるキャラでは?!と思われるような人形も。

現代の人々のイメージ力も古代の人に負けてはいない。ガーナの棺桶には驚いた。
ビール瓶や飛行機、車をそのままかたどった棺桶。中に入ったらどんな気持ちがするのだろう?
イメージは見る人の考えや、置かれた場所によって、本来とは違う意味や新しい価値を持つこともある、ということらしい。
他にもイースターエッグの色彩感、びっしり並んだビーズなど、特別な素材や、鮮やかな色彩や光から伝わる「特別な力」の展示にも興味をひかれた。

最後の「民族資料を現代美術風にインスタレーションしてみた」は、非常に面白い展示の仕方だと思った。
元々「はしご」や「あみ」として使われるために、つくり出されたもの達。それらを「現代アート」だと感じられるのも、またイメージ力なのだろうか。

人間の想像力のたくましさ、そしておおらかで、豊かな発想力に感嘆し、想像力を大いに刺激された。

「イメージの力― 国立民族学博物館コレクションにさぐる」について
会期 2014年2月19日(水)~ 6月9日(月)
毎週火曜日休館 ただし、4月29日(火)および5月6日(火)は開館、5月7日(水)は休館
開館時間 10:00~18:00 金曜日は20:00まで
4月19日(土)は「六本木アートナイト2014」開催にともない22:00まで開館
入場は閉館の30分前まで。

I went to the National Art Center, Tokyo where “The Power of Images:The National Museum of Ethnology Collection” exhibition is being held. It was so exciting exhibition!
As Osaka’s National Museum of Ethnology celebrates its 40th anniversary in this year, The National Art Center presents this collaborative exhibition that focuses on the Osaka museum’s expansive art collection.
According to the booklet, “An image is the form or shape of something that is created or conceived by a human being. This exhibition focuses on the interaction between people and images. Through the ages, people have created images such as tools used in everyday life, decorations worn on the body, and objects of prayer. And these images make us feel many different ways. Images have the “power” to make the prople who look at them feel something.”
You’ll find many masks collected from all over the world and many figures of gods and sprits were made in vatious regions.
There are also radiant and brilliant things which convey a special sense of power to people who look at these images.
You’ll see so many other objects and I wonder that what sort of meaning and power of the images will you have?
The exhibition information, as follows.

Dates
February 19(Wed.) – June 9(Mon.), 2014
The National Art Center, Tokyo (Roppongi)
Closed on Tuesdays(except for April 29 and May 6, 2014) and May 7
Opening hours
10:00 – 18:00 (10:00 – 20:00 on Fridays)
*Open until 22:00 on Saturday, April 19, 2014 (Roppongi Art Night 2014)
*Admission up to 30 minutes before closing

Artist Interview part-2 (English virsion)
Kousuke Teramura (potter)

2014.03.15

Kousuke TeramuraI interviewed Kousuke Teramura, potter in Mashiko.
<Profile>
1981 Born in Tokyo
2004 Graduated from HOSEI University (Department of Economics)
2004 Learned pottery from Kengo Wakabayashi, Mashiko
2008 Established his own pottery in Ogodo, Mashiko (Tochigi prefecture).
*Click here for LOCCA Online Store

Teramurainterview2  Teramurainterview12

-Please tell me what made you start pottery?
I began pottery when I was a freshman at college. I went to pottery class with my friend without really thinking and It was really interesting experience. That created an opportunity to start pottery.
But the more I made, the more questions arose.
I thought that I would job search later but I wanted to study pottery art more at that time.

-When do you feel happy as a potter?
I would be very happy to see the photo of my pottery and food or hear that someone using my pottery.
I feel that there is the meaning of make and also the meaning of life.

-I heard that you are making potteries with the theme “pottery completed with food”.
Will you tell me about it?
Yes, when I looked at my pottery with some foods, I feel that is the perfect scene of my work and I feel the Infinite potentiality.

-Do you ever feel rushed when you pressed by many orders or sometimes things don’t go the way you want?
And could you tell me what is important to you such a time?
Not pressure…but sometimes I can not concentrate in the wrong mood. So I think it’s really important to work comfortably myself. Because I think that the mental part is really big. If I can work happily I think I can work faster.
Teramurainterview3  Teramurainterview5

-Please tell me your pottery’s characteristics?
I use clay 100% produced of Mashiko. Blending with several kinds of clay which made by respected artisans.
And I purposely purified the clay roughly and remained their texture that originally had. So there are sand and pinholing on the surface.

-I think one of the beauty of your pottery is texture by glaze.
Could you tell me about the white “Terayama” clay?
Basicaly, “Terayama” is the raw material for glaze. Long time ago, they were using as raw material for porcelain as well ‘cause their ingredient were near to a stone. However they have much iron content and impurities. So they are not suitable for pottery clay. But I guess that early potter were using Terayama as clay because Mashiko was near from those production area (Yaita area).
Characteristically, they have rough taste. Terayama is clayey soil so they have less incidence of solidification and also they are excellent with other raw materials. I consciously use Terayama more or less for all my works.
Terayama have an inhibitory effect on glossiness and work on petrify. It becomes unique texture.
Also they have another characteristic which have resistance to the fire. I have been learned that Terayama was used as well as transparent glaze of the old “namishiro.

-But they don’t mine anymore, though?
I bought a lifetime Terayama. And they are my treasure.

-What kind of thing do you want to make in the future? Or do you have any plan for new work?
I don’t have spare time now, so I am working for ordered items basically.
But I think that I am always free to spend my time and that’s the freelance privilege, isn’t it?
Whenever I can work for something new, I’ll try.
The new work is a challenge for myself. It must be excited to see things that I’ve never seen.
I believe that it’s kind of important thing to keep pressure myself to control time and try something new.

After the interview, he showed me several kinds of ash from natural materials.
Teramurainterview6  Teramurainterview7  Teramurainterview8  Teramurainterview9
Next Mashiko Toukiichi (Pottery Fair in Mashiko) will be held in Mashiko from Apr. 26 to May. 6, 2014.
If you are interesting Japanese potteries, let’s go there and have fun!!
They have many place to visit in Mashiko (Teramura-san took me there)…
・Chaya Amamaki (nice pizzeria!)
・Shoji Hamada Memorial Mashiko Sankokan Museum
・starnet ( cafe/ store/ gallary & hall)

 

 

 

 

 

 


作家インタビュー(寺村光輔) パート1(日本語)
Artist Interview Kousuke Teramura (potter)

2014.03.15

Kousuke Teramura作家インタビュー第2回目。
LOCCA Online Store 寺村さんの作品はこちらから購入できます!

大橋トリオの曲が小さくかかっている。後ろでパチパチと薪ストーブの薪がはぜる音。
ゆったりとした時間の流れる中、益子の陶芸家・寺村光輔さんに実際に作業を見せていただきながらお話をうかがった。
*Please read “Artist Interview part 2” for English language.

ー陶芸を始めたきっかけを教えてください
始めたのは大学1年の時。友人と一緒に吉祥寺の陶芸教室でなんとなく体験してみたら面白かったんです。
Kosuke Teramura   無造作に積まれた貴重な材料たち
ーではプロを目指したきっかけは?
大学時代、ある大学の美術部のアトリエで自由に作らせてもらっていたのですが、やればやるほどわからないことが沢山でてきて、もっと勉強してみたいと思ったんです。就職は後でも良いかとそのときは思っていて。そのタイミングじゃないと自由に動けないと思ったのが大きいです。

ー修行に入られてからはいつくらいから本格的にやろうと思ったのですか?
3年くらい経ってからです。だんだんやりたくなってきてしまうんですよね、不思議と。
もっとこうした方がいいのにな、とか、こういうものが作ってみたいという思いが増えていき、親方に言うと「独立してからやればいい」と言われ、それで独立というものを意識しました。4年くらいするとできる事も増えて来て、もしかしてやっていけるんじゃないか?という気持ちが出て来ました。でも最後は「勢い」。

ーその時に、すでに自分はこういうものが作りたい、という作品の方向性がはっきりしていたのですか?
独立してすぐにやりたかったことに取り組みました。それが今の天然の灰を使ったものだったりします。
だんだん認められて注文が増えていき、今の自分のスタイルになっていった感じです。
高台を削りだす 使い慣れた道具達

ー作品を作っていて嬉しいと思う時、瞬間はどういう時ですか?
一番嬉しいのはお客様から料理を載せた器の写真を見せてもらったり、使ってますよ、と言われる事ですね。自分が作る意味がある、生きる意味があるな、と思います。飾る為のものを作っているわけではないので、実際に使ってもらうのがやはり一番嬉しいです。

ー寺村さんは「料理を盛って完成する器」をテーマに作っているとうかがいましたが?
そうです。料理が盛られたものを見ると、その時に完成というか、無限の広がりを感じます。こういう使い方もあるのか、とも思ったりしますね。

ー注文が背後に迫っていて、焦ったり、今日はうまくいかないと気持ちが焦ることはないですか?
手が動かない、というより気分が乗らなくて集中できないことはありますね。いかに自分を気持ちよく仕事させるか、それが大切だと思っています。本当に精神的な部分が大きいと思うので、楽しく仕事が出来れば相当作業は進むと思うんですよ、基本的には。

ー寺村さんの作品の特徴的なことを教えて下さい
益子の土で100%作っていて、職人が作る土を数種類ブレンドして現土に近い、あまり精製されていないものを多く使っているので、鉄(作品の表面に現れる鉄点)など、本来その材料が持っている風合いを残したいと思っていて、そういう土を選んで使っていることでしょうか。

ー寺村さんの作品の魅力に、釉薬による風合があると思うのですが、
材料の1つである寺山白土についておしえてください。寺山白土の魅力とは何なのでしょう?
(※寺山白土は栃木県矢板地区で産出されていたが、今はもう産出されていない)

基本は釉薬に使う原料で、石に近い成分なので昔は磁器の原料になっていたこともありましたが、鉄分が多かったり、不純物が多いので生地としては適しません。だけれど、益子は矢板で産出してから運ぶのにも近い場所だったので、それを原料として代用して使っていたのだろうと推測されます。
特徴は、雑味でしょうか。雑味が独特な益子焼に、元々透明な釉薬として使われていた物なので、その野暮ったさがあります。粘土質なので釉薬に混ぜたときに釉薬が固まりにくかったり、他の原料との折り合いがとても良いです。僕は意識して全ての作品の釉薬に多かれ少なかれ寺山白土を使っています。
寺山は光沢感を抑える、鈍くさせる方に作用します。それが独特の風合となります。また、寺山は火に強い(溶けずに硬い事を意味する)ので使っています。使っていくと自分が良いと思っていた、昔の「並白」という透明釉以外にも寺山は使われていたんだな、ということがわかってきました。

ーただ、現在は産出していませんよね?
僕は一生分買いました。
宝物です。

ー今後、どのようなものを作りたいですか? 新作の予定などは?
空いている時間というのは無いので、基本的に今は注文品を作ることに集中しています。
タイミングを合わせて新しいものを試す時間を作るしかありません。
ただ、自分次第で時間の使い方はどうにでもなりますから。また、それがフリーランスの良さでもあります。
やれる時に試し、実験しています。

新作は自分にとっては挑戦です。
自分自身も見た事の無いものができる楽しみもあります。
新作に取り組む時間を取れるよう、常に自分にプレッシャーをかけていくというのは大事なことだと思っています。

インタビューの後、工房の外にある様々な種類の灰のアク取り過程など見せていただいた。
水を換えては沈殿させアクを取り、また水を換え、を繰り返す。酸が強いものもあり、すぐに手で触る事は出来ない。
人の手を使い、1つ1つ時間をかけて工程をふみ、出来上がった灰を他の材料と調合して自分の出したい釉薬を作り上げる。
寺村さんは、例えば林檎の枝を燃して灰を作るなど、自然の材料から灰を作る。
同じ材料を使っても、その比率で焼き上がりは異なる。深い世界だ。

<寺村光輔プロフィール>
1981年 東京都生まれ
2004年 法政大学経済学部卒業
2004年 益子 若林健吾氏に作陶を学ぶ
2008年 益子町大郷戸に築窯 独立

————————
インタビューを終えて
白菜と舞茸、ナッツのサラダ

寺村さんと話していると、プレッシャーに対する精神力の強さと、モチベーションの高さをいつも感じる。
想像するに、相当忙しいはずなのに、良い意味で自分自身にプレッシャーをかけ、うまくエネルギーに換えているのだと思う。
そして自分の意識をそう持っていくことの大切さを知っている人なのだと思う。
実はなかなか出来る事ではないと、私は思う。
組織の中にいるのとは違い、一人で、黙々と作品に向かう作業というのは、想像以上にタフさを必要とする世界だと思う。
しかし、彼の作品にはピリピリと尖った感じが、ない。
大らかで、どんな料理をも受け止めてくれる温かみを感じる。
それでいて、形は野暮ったくなく、本人同様に洒落ている。

この取材に訪れた際、多忙なスケジュールの中わざわざこちらのために益子ツアーを考えて下さった。
高速バスを降りてから、帰りのバスに乗るまで、実にみっちりと魅力溢れる益子の町を案内していただいた。
石焼ピザのお店「茶屋雨巻」や、益子参考館、スターネットなど今の益子を代表する場所ばかり。
「遠くから来てもらった方を案内することも大切な仕事だと思っています。益子に来てもらって益子の良さを知って好きになってもらいたい、喜んでもらいたいんです。」と寺村さん。

本当に素敵な所なので、みなさんも是非訪ねてみて下さい!
春には恒例の益子陶器市も開かれますよ!(4月26日(土)~5月6日(火)開催予定)

 

 


マーマレード作り Amanatsu marmalade

2014.03.10

先日、うつわの作家さんのところへ取材に行った際、お庭にたわわに実っていた甘夏を沢山いただいた。
行きより帰りの方が、いただいたおみやげで荷物が多い・・・ふふ。

さて、その甘夏をマーマレードにしてみた。
みかんそのものがとっても味があって美味しかったので、これはきっと良いマーマレードができるに違いない・・とニヤニヤしながらキッチンに立つ。
I went to Itako city to have an interview with porcelain artist, Yuko Hiramatsu.
There was a big chinese citron tree in the garden of her house and they gave me some.
I tried to make marmalade using these citrons today.

美味しそうな甘夏柑!

先ず、丸ごと水洗い。皮と果肉に分け、皮は白いわたを出来るだけ取り除き千切りに。果肉は手でほぐし砂糖をまぶして水分が上がってくるまで置いておく。
First, wash them well with running water and remove white bits inside of citron’s peel and cut into long thin strips. Flake pulp into large chunks and cover sugar and put them for a while.

大きめの鍋に千切りした皮と、たっぷりの水を火にかけ、沸騰してから10分くらい煮て茹でこぼす、を2回繰り返す。
Boil peel with plentiful water for around ten minutes after boiling and repeat this process one more time.
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果肉から水分があがってきたら、皮と一緒にして煮始める。
最初はこんな感じ。色も薄く、水分が多い。
Put pulp (+ sugar) and peel in a large pot together and simmer them over low heat.
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だんだん煮詰まり、色も濃くとろみが出てくる。このくらいまで煮詰まれば出来上がり。部屋中みかんの良い香り!
Cook until the color and sauce thickens (liquid volume is reduced to almost halve). Good smell!!
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たくさん出来た!!長期保存するものは瓶に入れ煮沸。
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ヨーグルトに入れてよし、トーストや、刻んでクリームチーズと和えたり、ドレッシングに入れてみたり。
They are very useful. Put it in yogurt, spread on toast, with cream cheese…etc.
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香りがたまらん〜〜〜
(平松さん、ありがとうございました〜!)


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